「無敵化する若者たち」とは何か?
株式会社東洋経済新報社より2025年12月24日に発売された書籍『無敵化する若者たち』は、金沢大学教授である金間大介氏による最新作です。本書では、豊富なデータと具体的なエピソードに基づき、現代の若者たちの心理が詳細に解読されています。
従来の若者像とのギャップ
世間一般でイメージされる「意識が高い」「起業志向がある」「SDGsに関心がある」といったZ世代像は、実は若者全体の約1割を占める「自己実現タイプ」に過ぎません。これに対し、若者の半数を占めるサイレントマジョリティ(静かなる多数派)は、目立つことを嫌い、冒険よりも現状維持を好む「安定志向タイプ」、すなわち「いい子症候群」であると指摘されています。

そして今、この「いい子症候群」からさらに変化し、20代半ばまでの若者たちに進行しているのが、独自の「無敵化」です。彼らは上の世代が静かに安定を求めるのとは一線を画し、職場において以下のような行動原理を示すとされています。
「無敵世代」の行動原理
「無敵化」した若者たちは、職場において特徴的な行動原理を持っています。
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極端な安定志向: 「リスクをとって成長する会社」よりも、「安定して確実な会社」を好む傾向にあります。
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熱意の回避: 「志気高く頑張る職場」を避け、理想の上司は「情熱がある人」ではなく「丁寧に教えてくれる人」であると考えます。
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過剰な自己防衛: 集団の中で目立つ行動は避け、何か行動を起こす際には「上司に言われたから」といった「言い訳」を必要とします。
彼らにとって仕事は、自ら積極的に取りに行くものではなく、降りかかってくるリスクと捉えられています。中には「仕事はボールを受け取った方が負け」という感覚を持つ者もいると本書は伝えています。
なぜ「無敵化」が進むのか?
若者たちがこのような価値観を持つ背景には、冷徹なまでのリアリズムが存在します。
努力の費用対効果を重視するリアリズム
「皆さんには無限の未来が広がっている」「これからの日本社会を支えるのは君たちです」といった言葉は、現代の若者には響きにくい傾向があります。彼らは肌感覚で「努力は費用対効果が低い(コスパが悪い)」と悟っているためです。
調査からは、若者たちが人生には生まれたときから決まった「範囲」があり、無理に上を目指すよりも自分の枠の中で生きる方が効率的であると考えている実態が見えてきました。彼らは「あきらめ」や「達観」によって自らの世界を限定することで、逆に心を軽くし、幸福感を得るという生存戦略をとっているのです。自分の範囲を守り、そこから逸脱しないよう細心の注意を払うことで、今の平穏を維持しているとされています。
先輩世代が若者と向き合うためのヒント
このような若者たちの価値観を「かわいそう」と捉えるか、「合理的」と捉えるかは人それぞれでしょう。しかし、彼らの深層心理を理解することは、今後の職場におけるコミュニケーションや人材育成において非常に重要です。
本書は単なる現状分析に留まらず、「無敵」というキーワードをもとに、仕事、恋愛、学校など多角的な視点から若者を解剖しています。その上で、「先輩世代はどう接すべきか」「若者世代はどう生きるべきか」といった具体的な提言が記されています。この「無敵世代」の心理を知ることが、彼らとの関係を築き、新たな一歩を踏み出すためのヒントとなるはずです。
書籍『無敵化する若者たち』の構成と著者紹介
本書の目次は以下の通りです。
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第1章 安定志向が止まらない
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第2章 今の子たちは窮屈でかわいそうな存在か
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第3章 「がんばるくらいならこのまま衰退していい」6割
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第4章 理想の上司はとにかく全部わかりやすく教えてくれる人
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第5章 気づかい世代の40、50代と「鬼つよメンタル」の20代
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第6章 男子はこっち、女子はあっち
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第7章 なぜ「安定志向の若者たち」は生まれたのか
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第8章 先輩世代の皆さんへ
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最終章 若者世代の皆さんへ
著者の金間大介氏は、金沢大学融合研究域教授であり、イノベーション論、マーケティング論、モチベーション論などを専門としています。若手人材や価値づくり人材の育成研究に注力しており、『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』など、若者に関する著書を多数執筆されています。
書籍情報

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書名: 無敵化する若者たち
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著者: 金間 大介
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定価: 1,760円(税込)
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発売日: 2025年12月24日
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ISBN: 978-4-492-22433-5
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体裁: 四六版/並製/302頁
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発行元: 株式会社東洋経済新報社
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