結論:AI時代に価値が残るのは「責任を伴う主体的な判断」ができる人材
2025年11月26日、電気通信大学で開催された「ベンチャービジネス概論」において、アルサーガパートナーズ株式会社の代表取締役会長兼CTOである小俣泰明氏が特別講義を行いました。この講義は「現役会長兼CTOが考える後悔のないキャリアの築き方とAI時代に必要な人材」をテーマに、300名を超える学生が参加し、活発な議論が交わされました。
本講義の核心は、AIが人間の仕事を代替し始める現代において、「責任が伴わない仕事には、いずれ価値がなくなる」というメッセージです。AIは意思決定の責任を伴う選択ができないため、主体的に判断し、その責任を負うことができる人間にこそ、これからの時代に価値が残ると小俣氏は強調しました。これは、現代のビジネスパーソン、特に管理職や専門職に就く方々が、自身のキャリアを再考する上で非常に重要な示唆を与えるものです。
理由:小俣氏の多岐にわたるキャリアが示す「後悔しない仕事選び」のヒント
小俣氏のキャリアは、大手企業、ベンチャー企業、そして起業家という三つのフェーズを経て形成されており、それぞれの経験から得られた具体的な学びが、後悔しない仕事選びのヒントとして語られました。
大手企業で培った「基礎と活用の重要性」
小俣氏は、日本ヒューレット・パッカードやNTTコミュニケーションズといった大手ITベンダーで技術職としてキャリアをスタートさせました。新卒研修でネットワークインフラ、ハッキング対策、ITIL(運用管理のノウハウ)、プロジェクトマネジメントといった多岐にわたる技術的知識を習得した経験は、大きな財産になったと振り返っています。
しかし、一方で、せっかく学んだ高度なスキルを実務で活用する場が少なく、「宝の持ち腐れ」状態になることへの違和感も抱いたそうです。この経験から、「スキルは磨くだけでなく、活用してこそ意味がある」という重要な教訓を得たことを強調しました。

ベンチャー企業で実感した「貢献とやりがい」
大手企業での経験を経て、小俣氏はベンチャー企業へと転身しました。ここでは、給与が支払われないといった大手企業では考えられないトラブルも経験しつつも、「自分の活躍が会社の業績に直結すること」を肌で感じ、仕事のやりがいを強く実感したと語っています。大手企業で培った知識が、ベンチャーではそのまま会社の競争力を高める価値となり、自身の成果に直結したのです。この経験は、キャリアの幅を広げる貴重な機会となりました。

起業家として意識すべき「戦略的思考」
35歳で初めて起業した小俣氏は、事業を立ち上げる際に「何のために会社を創るか」「どのように組織を作るか」「どのように会社売却するか(イグジット戦略)」の3つのポイントを意識すべきだと述べました。特に、立ち上げ段階からイグジット戦略を設計しておくことの重要性を強調しています。
「何のために会社を創るか」については、市場のニーズを徹底的に探る「マーケットイン戦略」が不可欠であると説明。ユーザーの反応を見てから開発を進める人気ゲーム会社の事例を挙げ、ユーザー起点でのプロダクト設計の大切さを伝えました。
「どのように組織を作るか」では、創業初期は創業者の想いに共感する即戦力人材を集めることが優先される一方、組織規模が大きくなると、攻めの人材だけでなく、組織制度や内部統制を整える「守り側の人材」の必要性が高まるため、フェーズに応じた組織設計が求められると説きました。
「どのように会社売却するか(イグジット)」については、株式上場(IPO)と会社売却(バイアウト)のどちらを目指すのかを明確にすることで、戦略や資金調達の方針に一貫性が生まれると説明。小俣氏自身は、株式を渡す出資を「内臓を売るような感覚に近い」と表現し、可能な限り借り入れで資金を賄う方が精神上良かったと、経験を踏まえて伝えました。
「人生における幸福」を追求する仕事の選び方
小俣氏のキャリアの節目には、年収の高い会社と、ビジネスへの確信と尊敬できる仲間がいる会社の2社で迷った経験がありました。最終的に自身が選んだ道と向き合い、その経験を振り返ったときに、「年収における幸福」は「人生における幸福」とは限らないという教訓を得たそうです。

むしろ、やりがいや充実感といった「長期的な幸福実感」が、人生を豊かにすると学生たちに語りました。人生の中で長い時間を費やす仕事は、単なる生計手段ではなく、社会とのつながりを保つための営みであるため、他人と比べることなく、自分の納得するタイミングで起業に踏み切る覚悟が大切だと伝え、「遅すぎることなんてない」という力強いメッセージを送っています。
AI時代に「生き残る」ために必要なこと
AIが人間の仕事を代替し始めるこの時代に、小俣氏は「責任が伴わない仕事には、いずれ価値がなくなる」と強く語りました。AIは意思決定の責任を伴う選択ができないため、主体的に判断し、責任を持つことができる人間にこそ、これからの時代に価値が残る存在だと述べています。

また、AI時代にスキルを高めるためには、常に好奇心を持ち続けることが何よりも重要だとしています。生成AIと日常的に対話し、深く使いこなす姿勢こそが、自分の能力を高める近道であると説きました。例えばエンジニアの場合、基礎知識があることでAIから得られる情報の深度も変わるため、学びを止めてはいけないと訴えています。
まとめ:次世代を担う人材育成への貢献
今回の講義には、オフライン・オンライン合わせて300名を超える学生が参加し、小俣氏の波瀾万丈なキャリアや、AI時代における働き方に関する話に真剣に耳を傾けました。学生からは、「大手で勉強してベンチャーに活かすという新たな視点が得られた」「ベンチャービジネスの目的や経営方法がわかりやすかった」「起業に対する解像度が上がった」といった多くの前向きな感想が寄せられています。

アルサーガパートナーズは、生成AIや最先端技術を社会に届けるだけでなく、次世代を担う技術者やリーダーが自らの可能性に気づき、未来を切り拓く力を育むことにも力を入れています。今後も、教育現場や地域社会と連携しながら、実社会と学びをつなぐ機会を創造し続けるとのことです。
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