「空気を読むな、温度を測れ!」に込められたメッセージ
本書のタイトルには、著者の大條氏の深い思いが込められています。「空気を読むな」とは、他者に同調するのではなく、自らの判断力を持ち、「自分はどうしたいのか」を問い続けることの重要性を説いています。そして「温度を測れ」には、関わるすべての人を元気にするという願いが込められており、相手の状況や感情を理解し、それに合わせたコミュニケーションを取ることを意味します。これは、相手の周波数に自らの周波数を合わせるという無線用語「ゼロイン」の考え方にも通じるものです。
リクルート時代に培われた「自分軸で働く」極意
大條氏は1984年にリクルートに入社し、総務部に配属されました。当時のリクルートの社訓「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」を体現するように、総務の枠を超えた挑戦を続けます。
自動販売機管理から見出した仕事の意味
彼の社会人としての最初の業務の一つは、自動販売機の管理でした。一見すると単調な作業ですが、ある暑い日に、大條氏は自動販売機の前で飲みたい飲み物を買えずにがっかりしている社員を目にしました。そこで自動販売機のベンダーから売れ行きデータをもらい、商品ラインナップを調整することで、売り切れを無くすことに成功しました。その後、営業部長からは「最近、総務のサービスがとても良くなった」と感謝の電話があったことで、大條氏は総務が提供できる価値を実感します。これは、目の前の業務に主体的に関わり、顧客(社内社員も含む)の課題を解決することで、仕事の価値を高めることができるという教訓を示しています。
社内報コラムで社員を元気に
リクルート事件(1988年)という困難な時期にも、大條氏は社内報「かもめ」でお悩み相談コラムを立ち上げ、社員を精神的に支え続けました。当時の編集長は「長くは続かないだろう」と考えていたそうですが、このコラムは、彼がリクルートを退職した後も34年間にわたり連載が続き、現在に至るまで多くの社員を元気づけています。これは、自身の役割を超えて、周囲の人々を支え、活力を与えることの重要性を物語っています。
株式会社ゼロインに受け継がれる「顧客を元気にする」文化
1998年に大條氏が設立した株式会社ゼロインは、大條氏がリクルートで経験した仕事への向き合い方を受け継ぎ、“社員を元気づける総務”をアウトソーシングという形で展開しています。
業務に線を引かない柔軟な対応
ゼロインを設立して間もない頃、顧客からオフィス移転の際にパソコンを運んでくれる運送会社がいない、という相談を受けました。当時、パソコンは非常に高価で、破損時に適用される保険がなかったためです。そこでゼロインは、「丁寧に運びますが、万が一壊れても補償はできません。それでも問題ないなら運搬します」と提案し、運搬を引き受けました。この柔軟な姿勢が「ゼロインは何でもやってくれる」という評判につながり、顧客からの信頼を獲得しました。
お客様の立場に立ったきめ細やかな提案
最近では、顧客オフィスに常駐するゼロイン社員が、下段のロッカーの使用に苦労している妊娠中の従業員を見かけ、ロッカーを手の届きやすい位置へ変更する提案を行うなど、日々の業務の中で顧客の「働く」を元気にする小さな改善を積み重ねています。また、別の常駐先では、毎日一つの業務改善を行う活動を1か月続けた社員もおり、お客様からは「ゼロインさんが毎日改善を続けているから、自分たちもお客様のために新しいことにチャレンジしようと思える」という感謝の言葉を受けました。
書籍概要

-
タイトル: 空気を読むな、温度を測れ!~周りに流されず、相手の「温度」を上げるコミュニケーション術31~
-
著者名: 大條充能
-
出版社: ポプラ社
-
発売日: 2026年3月3日
-
ISBN: 978-4-591-18863-7
-
定価: 1,760円(本体1,600円)
目次抜粋
本書には、以下のようなテーマで31の実践スキルが収録されています。
-
第1章 仕事の意味を見つける――「やらされ感」からの脱却
-
自動販売機の管理が教えてくれた、仕事の本当の意味
-
顧客のことを顧客以上に知ることで見えてくる新しい仕事
-
YOUメッセージをやめて、Iメッセージに切り替える
-
-
第2章 「会社のため」でなく、「会社を利用」して働きたい
-
リクルート創業者の「会社を利用して市場価値を高めろ」という言葉
-
自己申告は人生を変える魔法のボタン
-
運のいい人になるための意外な方法
-
-
第3章 仕事のやりがいも悩みも、結局は人間関係!
-
セカンドペンギンがムーブメントを起こす理由
-
誰もやらないことをやれ――リクルート流イノベーションの原点
-
外に飛び出さないと見えない世界がある
-
また、石川明氏(『Deep Skill』著者)、大西康之氏(ジャーナリスト)との特別対談も収録されています。
本書は、自身のキャリアに疑問を感じている方や、組織の中でより主体的に貢献したいと考えている管理職・専門職の方々にとって、新たな視点と具体的な行動指針を与える一冊となるでしょう。大條氏の実践に基づいた知見は、日々の業務に活力を与え、長期的なキャリア形成に役立つはずです。ぜひ、本書を手に取り、ご自身の「自分軸」を見つける旅を始めてみてはいかがでしょうか。


コメント