地方企業における専門人材活用の背景
この傾向の背景には、いくつかの要因が挙げられます。
まず、総務省の調査によると、総人口の減少が続き、地方の企業では6割以上が労働力不足を感じていると報告されているように、人材獲得の難易度が上昇しています。
次に、政府の制度整備や企業の副業解禁といった動きが、企業が外部人材を受け入れる環境を後押ししています。
そして、スキル不足や採用難といった課題に対し、必要な専門性を必要な時に外部から柔軟に取り入れるという、より戦略的な人材活用の視点が広がっていることが挙げられます。
地方企業における副業活用の実態
パーソルキャリア株式会社が提供する副業・フリーランス人材マッチングプラットフォームサービス「HiPro Direct」のデータによると、2023年10月~2025年9月の地方企業におけるマッチング数は前年比234.5%と大幅に伸長しました。これは、地方企業が外部人材の活用を本格的に進めていることを示しています。

経営基盤を強化する専門性ニーズ
地方企業では、経営基盤の強化に直結する分野での専門人材ニーズが高まっています。職種別のマッチングランキングを見ると、その傾向が顕著です。

マッチング「総数」ランキング上位
- マーケティング/PR(前年2位): 企業の認知度向上やブランド価値強化のため、InstagramやTikTokをはじめとするSNS活用、ECサイト運営、SEO対策・広告戦略などデジタルマーケティング戦略に関するマッチングが増加しています。
- 営業/販路拡大(前年1位): 新規顧客の開拓や販路拡大に取り組む企業が多く、新規市場への進出、ターゲット顧客の開拓、BtoB/BtoC両市場における拡販施策を求めるニーズが見られます。
- IT/クリエイティブ(前年6位): 上位のマーケティング/PR強化と連動し、デザイン刷新やウェブサイトリニューアル、社内のDX化(デジタルトランスフォーメーション)、サービス開発を視野に入れたIT人材のニーズが増加しています。
マッチング「伸長率」ランキング上位
- IT/クリエイティブ(前年比543.5%): マーケティング/PRの需要に伴い、WebサイトやECサイト、SNS運用、デザイン刷新など、デジタル領域の実務ニーズが急増しています。営業活動が対面から非対面へ移行する中、情報を正しく効果的に届けるWeb強化や、外国人訴求のための多言語対応なども背景にあります。
- 人事企画/人事労務(前年比268.4%): 国内全体の課題でもある採用難や人材獲得競争は地域でも加速しており、「人を辞めさせない」「社員を育てる」「選ばれる組織になる」ことが重視されています。評価制度の見直し、育成体系の整備、給与制度の再設計、採用活動の強化など、組織基盤を整えるテーマが増加しています。
- 新規事業開発/事業企画(前年比249%): 人口減少や市場縮小への対応として「既存事業の延長では成長できない」という危機感が地域企業でも顕著です。市場調査、事業テーマ策定、事業計画立案、補助金申請、PoC(概念実証)推進など、構想から実行までの伴走支援が求められており、専門人材活用が増加しています。特に第一次産業・サービス業・自社製品を持つ企業で、新規ブランドや事業多角化ニーズが高まっています。
月額報酬の中心は3~5万円未満
地方企業における副業案件の月額報酬は、「3~5万円未満」が全体の67.3%を占め、主に中低価格帯に集中する傾向が見られます。「40万円以上」の高額案件は2%と少数派です。これは、企業が専門性を必要な範囲で、適正なコストで取り入れる外部人材活用を進めており、専門人材を継続的に受け入れる環境が形成されつつあることを示しています。

地方企業における外部人材活用事例
具体的な活用事例として、以下の3つのケースが挙げられます。
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マーケティング/PR:「老舗喫茶店のSNSを“再スタート” 未経験の力で実現した伴走支援」
愛知県小牧市の株式会社ドリーム・ワンは、38年の歴史を持つ純喫茶「珈琲専門店グランチェスター」を経営しています。Instagramでの情報発信に課題を抱えていましたが、あえて実務未経験のプロ人材を起用。一方的なアドバイスではなく、ともに作り上げる運用を重視し、投稿数の安定と内容の質向上を両立しました。最終的には自社内での運用を目指しています。

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新規事業開発/事業企画:「新規サービスを3カ月で構築。スタート後の集客も支援」
京都府亀岡市の株式会社WAHAHAは、パーソナルジム運営を主軸とし、研修事業や食品事業も展開しています。既存事業の経験を活かしつつ、新しい発想をもたらすプロ人材とともにタスクを可視化。3か月で新サービスをリリースし、実際の集客まで伴走することで、さらなる成長を目指しています。

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営業/販路拡大:「顧客の潜在ニーズを発掘。営業基盤づくりを外部視点で支援」
秋田県仙北郡美郷町の株式会社斉藤光学製作所は、顧客の要望だけではなく、潜在的なニーズの把握のため、プロ人材とともに「営業のあるべき姿」を策定しました。全社で営業部門の重要性を共有し、「秋田ブランドでジャパンクオリティをリードする」ための基盤を構築しました。

HiPro編集長 鏑木 陽二朗氏による解説
HiPro編集長の鏑木 陽二朗氏は、地方企業が直面する人口減少と人材獲得の課題に対し、副業活用が有効な手段であることを指摘しています。特に2025年度はIT/クリエイティブ領域の活用が540%伸長するなど、新たな活用形態が見え始めており、2026年度には1社で複数のポジションで副業を活用する流れが進むだろうと予測しています。

結論:外部人材活用は地方企業の成長戦略の鍵
地方企業における副業・フリーランス人材の活用は、単なる人材不足の補填に留まらず、企業の成長戦略において不可欠な要素となりつつあります。IT、人事、新規事業開発といった戦略的な領域で外部の専門性を柔軟に取り入れることは、変化の激しい現代において、持続的な企業成長を実現するための重要な鍵となるでしょう。管理職の皆様におかれましては、こうした外部人材活用を積極的に検討し、自社の事業戦略に組み込むことが、今後の競争力を高める上で極めて重要であると申し上げられます。
関連サービス
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転職サービス「doda」: https://doda.jp/
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副業・フリーランス人材 マッチングプラットフォームサービス「HiPro Direct」: https://hipro-job.jp/pro/service/direct/lp/
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パーソルキャリア株式会社: https://www.persol-career.co.jp/





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