現代ビジネスにおける創造性解放の重要性
現代のビジネス環境において、イノベーションの創出は企業の持続的な成長に不可欠です。しかしながら、多くの組織では、従業員一人ひとりが持つ創造的潜在能力が十分に発揮されていないという課題に直面しています。この状況を打破し、次世代の組織づくりを推進するための貴重な手引きとなるのが、本日2026年4月8日に株式会社ナカニシヤ出版より刊行された『創造的自己研究ハンドブック:創造性を発揮するための心理学的探究』です。
従来のマネジメントが抱える課題と「創造的自己」の必要性
20世紀のマネジメントは、効率と統制を重視する「軍事的世界観」のもとで構築されてきました。このアプローチは、組織の安定と生産性向上に寄与した一方で、個人の創造性を構造的に抑圧してきた側面も否定できません。現代企業が直面するイノベーションの枯渇という課題を乗り越えるためには、人間本来の好奇心や探究心を中心に据える「冒険的世界観」へと経営のあり方を組み替える必要があります。
この転換の鍵となるのが、本書が深く掘り下げる「創造的自己信念」という概念です。個々人が「自分は創造的である」と認識し、その信念に基づいて行動する「創造的自己」を育むことが、組織全体の活力を高め、新たな価値創造へとつながるのです。
世界的名著『創造的自己研究ハンドブック』が解き明かす「創造的自己」

本書は、マチェイ・カルウォフスキとジェームズ・C・カウフマン両氏が編纂し、2017年に刊行された世界的名著『The Creative Self: Effect of Beliefs, Self-Efficacy, Mindset, and Identity』の翻訳版です。創造性研究の最前線で注目される「創造的自己」という概念を体系的にまとめた本書は、個人の「創造的潜在能力」がいかにして実際の「創造的達成」へと結びつくのかというメカニズムに焦点を当てています。
「創造的自己」の中核概念
本書の中核をなすのは、創造的行動を主体的意思決定と捉える「CBAAモデル(Creative Behavior as Agentic Action)」です。このモデルは、能力の有無だけでなく「信念が行動を決める」という構造を、以下の要素から心理学的・実証的に網羅しています。
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創造的自己効力感(Creative Self-Efficacy):自分は特定の課題で創造的な成果を出せるという自信を指します。
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創造的アイデンティティ(Creative Personal Identity):創造活動が自分にとって人生観の一部であるという自己認識を意味します。
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創造的マインドセット(Creative Mindsets):創造性は努力で育てることができる(成長型)、あるいは生まれつきで変えられない(固定型)という暗黙の思い込みを指します。
これらの信念が、個人の創造的な行動と達成に深く影響を及ぼすことが、本書では多角的に論じられています。
MIMIGURIが翻訳出版を企画した背景
株式会社MIMIGURIは、経営コンサルティングファームであると同時に、文部科学省認定の研究機関でもあります。同社は、自社のソリューションの基盤にある中核理論「Creative Cultivation Model(CCM)」を深化させ、世界の最先端知見を日本の産業界に実装するため、この翻訳出版プロジェクトを企画しました。MIMIGURIのミッションである「Cultivate the Creativity(創造性の土壌を耕す)」を体現するべく、本書が提示する確固たる理論的基盤を実務の現場へと接続し、人を「統制・最適化すべき対象」から「創造性を認めて活かし、育てていける存在」へと捉え直す、次世代の組織づくりをサポートすることを目指しています。
日本の創造性研究を牽引する専門家陣が結集
本書の翻訳にあたっては、石黒千晶氏(東京大学准教授、MIMIGURIリサーチパートナー)が監訳を務め、日本の創造性の認知科学・教育心理学の最前線で活躍する研究者陣が結集しました。日本語版前書きは、創造性研究の世界的専門家である岡田猛氏(東京大学名誉教授)と石黒千晶氏が執筆し、日本語版あとがきはMIMIGURI代表取締役Co-CEOの安斎勇樹氏が執筆しています。この強力な布陣が、本書の学術的価値と実務的意義を一層高めています。
石黒千晶氏は、本書の出版に寄せて、創造性は一部の天才だけのものではなく、学校や職場、日常生活においても重要な役割を持つと述べ、誰もが持つ創造的潜在能力が実際の行動に至るかどうかを決めるのが「創造的自己信念」であると強調されています。

また、安斎勇樹氏は、20世紀の「軍事的世界観」が人間の創造性を抑圧してきた状況を克服し、「冒険的世界観」へと経営を組み替える鍵が「創造的自己信念」であると述べています。「人を『統制・最適化すべき対象』から、『創造性を認めて活かし、育てていける存在』へと捉え直すこと」が、日本のビジネス界に本書を送り出す意義であると語られています。

書籍情報と関連コンテンツ
本書は、量的調査、芸術家へのインタビュー、脳科学的アプローチなどを通して、創造的自己というテーマを多角的にひもときます。管理職や専門職の皆様にとって、ご自身の、そして組織の創造性を再認識するきっかけとなるでしょう。
書誌情報
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書名:『創造的自己研究ハンドブック:創造性を発揮するための心理学的探究』
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編者:マチェイ・カルウォフスキ、ジェームズ・C・カウフマン
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監訳:石黒千晶
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日本語版前書き:石黒千晶・岡田猛
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日本語版あとがき:安斎勇樹
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翻訳:横地早和子、縣拓充、山川真由、清河幸子、松本一樹、清水大地、田中吉史
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出版社:株式会社ナカニシヤ出版
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発売日:2026年4月8日(水)
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定価:4,950円(税込)
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ISBN:978-4-7795-1930-7
書籍の販売ページはこちらです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4779519306
関連コンテンツ
MIMIGURIでは、一般のビジネスパーソンやマネジメント層向けに、本書のエッセンスを伝えるコンテンツを自社メディア『CULTIBASE』にて展開しています。対談動画「創造的自己とは何か?『創造性は才能』という思い込みを手放すには」(出演:石黒千晶氏×臼井隆志氏)も公開されていますので、ぜひご参照ください。
- MIMIGURIのメディア『CULTIBASE』: https://www.cultibase.jp/videos/creative-self
また、「軍事的世界観」の中で損なわれた「創造的自己信念」を、個人がいかにして回復し、言葉にしていくかという具体的な手法については、本書のプロデューサーである安斎勇樹氏の著書『静かな時間の使い方』(2026年4月発売 / 朝日新聞出版)にて詳しく解説されています。こちらも併せてお読みいただくことで、現代のビジネスパーソンが創造性を取り戻すための道筋がより立体的になることでしょう。
- 安斎勇樹氏の著書『静かな時間の使い方』: https://www.amazon.co.jp/dp/4023324752
終わりに:創造的な組織と個人への一歩
『創造的自己研究ハンドブック』は、個人の創造性を解放し、組織全体のイノベーションを促進するための理論的基盤を提供するだけでなく、具体的な実践へと接続する貴重な一冊です。管理職や専門職の皆様が、本書を通じてご自身の、そしてチームや組織の創造的自己と向き合い、次世代の組織づくりに向けた新たな一歩を踏み出すことを心より願っております。


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