管理職の半数以上が「大課長」に該当する可能性? 部下から見たマネジメント不全、最多は「人材育成」

目次

「大課長」問題の深刻な実態

「大課長」とは何か? その定義と出現率

「大課長」とは、人事コンサルティング業界で10年ほど前から使われ始めた言葉で、部長や本部長といった高い役職に就きながらも、課長時代の業務遂行型マインドから抜け出せず、本来担うべき中長期的な視点での戦略策定や組織開発ができていない管理職を指します。

林宏昌氏が提唱する「大課長」チェックリストは以下の5項目です。

  • 部長や本部長が、今月の数字や成果のことばかりを気にしている
  • 部長や本部長が、現場がすべき実務を抱え、各論に口を出している
  • 部長や本部長が、日々の仕事を回すことが中心で、人材育成に手が回っていない
  • 部長や本部長が、現在の延長線上で未来を語っている
  • 部長や本部長が、今いる人たちだけで業務を何とかしようとしている

このチェックリストで3つ以上当てはまる場合、「大課長」問題を抱えている可能性が高いとされています。

リデザインワーク株式会社が実施した管理職516人へのアンケート調査では、課長から見た部長・本部長の行動評価において、16項目中6項目以上に該当する管理職を「大課長」と定義した場合、その出現率は53.9%に上ることが明らかになりました。実に2人に1人の割合で「大課長」が存在しているという結果は、日本の多くの企業にとって看過できない実態を示しています。

課長から見た「大課長」出現率

部下から見たマネジメント不全の最多は「人材育成」

課長職の回答者に「上司(部長/本部長)のマネジメントによって周りで起こっている問題」について尋ねたところ、最も多かった回答は「人材が十分に育っていない」で、52.3%という高い割合を占めました。これは、部下にとって上司のマネジメントが最も不足していると感じる点が、次世代を担う人材の育成にあることを示唆しています。

上司のマネジメントで起こっている問題

また、「将来のありたい姿が曖昧な中、過去から現在の延長線上で、事業/部の将来を描く(または事業の未来を描いていない)」という項目も、56.6%の課長が「当てはまる」または「どちらかといえば当てはまる」と回答しており、中長期的なビジョン提示の不足も大きな問題として認識されています。

課長から見た部長・本部長の行動評価

一方で、部長・本部長自身への自己評価アンケートでは、「管理職に必要な水準を満たせていない」「なすべきことができていない」と回答した人は、すべての質問で2〜3割程度にとどまりました。この自己認識と部下からの評価との間に大きなギャップがあることも、問題の根深さを示しています。

「大課長」問題を解決するための視点

会社が取るべき改善策

林宏昌氏の著書『上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題』では、「大課長」問題の解決に向けて、会社が取るべき具体的な改善策が提示されています。

    • 課長/部長・本部長/事業部長の役割を明確に定義し明示する: 各役職に求められる責任と権限を明確にすることで、役割認識のずれを防ぎます。

    • 管理職を担うためのスキルを設計し明示する: 管理職に必要とされる具体的なスキルセットを定義し、その習得を支援する仕組みを構築します。

    • キャリア複線化を推進し、管理職以外の選択肢を示す: 管理職以外のキャリアパス(専門職など)を用意することで、適材適所の配置を促し、誰もが管理職を目指す必要がない環境を整備します。

    • チームで補完し合ったり、業務を分担したりできる制度を導入する: 個人の能力に依存しすぎず、チーム全体でマネジメント機能を果たす体制を構築します。

企業の先進的な取り組み事例

書籍では、実際に「大課長」問題の解決に取り組む企業の事例も紹介されています。

    • 日揮グループの「部長級3人体制」: 部長の負荷軽減と業務の質向上を目指し、部長、部長代理、主幹の3人体制でマネジメント機能を分担しています。

    • エーザイの「事業戦略型HRBP(Human Resource Business Partner)」: 事業戦略の実現を人事面から支援するHRBPを導入し、部門最適に陥りがちな問題を解消しています。

    • 三井住友カードの「スペシャリストを育てるキャリア複線化」: 管理職だけでなく、高度な専門性を持つスペシャリストのキャリアパスも明確化し、管理職とスペシャリストの比率を「5対5」にすることを目指しています。

これらの事例は、組織全体で「大課長」問題に向き合い、具体的な制度や仕組みを導入することで、マネジメントの質を高められる可能性を示唆しています。

まとめ:自己変革と組織変革の重要性

「大課長」問題は、個人の能力や意欲の問題だけでなく、組織構造や企業文化に根ざした複合的な課題です。管理職の皆様は、自身のマネジメントスタイルを客観的に見つめ直し、部下からの評価と自己認識のギャップを埋める努力が求められます。また、企業としては、管理職の役割定義の明確化、必要なスキル習得の支援、多様なキャリアパスの提供など、組織全体で「大課長」を生み出さない環境を整備することが不可欠です。

この問題に真摯に向き合うことが、組織の活性化、そして持続的な成長への第一歩となるでしょう。

関連書籍情報

本記事で紹介した「大課長」問題の詳細は、林宏昌氏の著書『上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題』に掲載されています。問題の深掘りから具体的な解決策まで、管理職の皆様にとって有益な情報が満載です。

上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題

    • 書名: 上司はリスクばかりを指摘する 会社を潰す「大課長」問題

    • 著者: 林宏昌

    • 発売日: 2026年4月13日(月曜日)

    • 定価: 957円(本体870円+税10%)

    • 新書判: 224ページ

    • Amazonリンク: https://www.amazon.co.jp/dp/4022953640

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この記事を書いた人

沖縄で3匹の猫たちと暮らす「沖縄の黒猫」と申します。スマホやAIの進化で色々な情報が簡単に手に入る便利な時代ですが、得た情報を実践するのは凄く難しいので、得た情報を記事にすることで色々行動出来る様になりたいと思い、サイトを運営しています。

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