2日目の始まり:京都での座禅体験
イベント2日目は、早朝から妙心寺・龍安寺での座禅体験からスタートしました。日本最大の禅寺での精神統一は、参加者に深い内省の機会を提供しました。参加者からは、「座禅がよかった。心を整えて、その後とても上質な話を聞けたのでものすごく満足度が高かった」といった声が寄せられています。
セッション⑤:平等を捨て、「誰に賭けるか」を決めるための人事データ論

このセッションでは、アビームコンサルティング株式会社の久保田勇輝氏とGoogle合同会社の山本真一郎氏が登壇し、「平等を捨て、誰に賭けるかを決める」という挑戦的なテーマで議論が交わされました。
人事データの活用における課題と本質
久保田氏は、単に個人のスキルを可視化するだけでは不十分であり、「事業の勝ちパターンと、それに必要な人材要件」を明確にすることの重要性を強調しました。事業戦略から逆算し、どのような「人の勝ち技」が必要かを定義し、そのために必要なデータを掘り下げることが意味のある人事データ活用につながると指摘しています。
山本氏も、Netflixでの経験を例に挙げ、「最高の人材を採用できているか」「ベストパフォーマンスを発揮できているか」「ベストではない人材に対するジャッジができているか」という3つの視点でデータを分析していたことを紹介しました。

「不平等」という名の投資戦略
「誰に投資するか」という問いに対し、登壇者全員が「事業戦略に基づき、メリハリのある投資が必要」という見解で一致しました。山本氏は、事業にとって重要な領域への投資は客観的に決めるべきであり、組織内での評価や抜擢においては「今は君がトップタレントだという評価」を明確に伝え、フィードバックし続けることの重要性を説きました。
久保田氏も、「過度な平等性は投資効果を下げる」と指摘し、事業テーマの優先度が高い領域に投資を集中させ、人件費も事業投資の一部として捉える視点の必要性を語りました。リーディングマークの飯田氏は、スタートアップの視点から、最終的な意思決定は人であっても、主観だけに頼らず、機会を提供し、周囲にもその価値を認めさせ、結果をデータで見るプロセスを重視していると述べました。
AI時代における人間の役割
セッションの締めくくりには、AIと人事の未来が議論されました。久保田氏は、自身や社員の思考パターンを学習させたAIエージェントを作成し、壁打ちを行うという先進的な活用事例を紹介し、人間は新しい視点や問いを立てることに集中すべきだと提言しました。山本氏は、AIを使いこなす人とそうでない人のギャップが急速に広がっている現状に警鐘を鳴らし、人事こそが意識的にAIに触れ、関係性を構築すべきだと呼びかけました。飯田氏は、AIがデータ分析や示唆出しを行う中で、最終的に人のエモーション(感情)を動かすことが、これからの人間に残された重要な役割であると締めくくりました。
セッション⑥:事業戦略を現場の行動に変える。事業の主人公としてのCHRO論

イベントの最終セッションでは、株式会社リコー コーポレート執行役員 CHROの長久良子氏と、株式会社Hajimari 執行役員 HRCの有賀誠氏が登壇し、「事業戦略を現場の行動に変える。事業の主人公としてのCHRO論」について議論しました。
経営機能としての人事の役割
モデレーターの飯田氏から「人事は事業の黒子なのか、それとも主役として前に出るべきか」という問いに対し、有賀氏は「経営の中に人事はある」とした上で、「人事は時にシナリオライターであり、時に主役である。その時々の経営課題に対して必要な役割を演じることが重要」と提言しました。
長久氏は、「人事になりきらない視点」の重要性を指摘。自身が事業部門にいた経験から、人事の専門性だけでなく、ビジネス側の視点を持ちながら、経営と現場の「真ん中」で双方をつなぐ役割を果たしていると語りました。

改革における合意形成と現場への浸透
議論は、経営陣とCHROがいかに合意形成を行うかという核心へ。有賀氏は、過去の失敗事例としてストレスチェック導入時の役員会での対立を挙げ、「正論であっても、事前に経営と目的を握っておかなければ通らない」と強調。会議の場での提案以前に、経営者と密にコミュニケーションを取り、互いの視座を合わせる「合意形成のための根回し」の重要性を説きました。
長久氏は、社長との対話において「自分たちの主張をしすぎず、相手の考えを聞き出すこと」で関係性が劇的に改善したエピソードを披露。月1回の1on1だけでなく、隙間時間を使った「前振り」やコミュニケーションの工夫により、信頼関係を構築している実例が共有されました。

人こそが変革の源泉
戦略を現場に浸透させるための具体的な仕組みとして、HRBP(Human Resources Business Partner)の役割についても議論されました。有賀氏は、HRBPがCHROにレポートラインを持ち、事業部長と対等に議論できる存在であるべきだと定義し、「成功事例や失敗事例をHRBP同士が横連携し、全社に展開していくことが理想的な組織学習である」と語りました。
また、組織変革の過渡期における現場の疲弊や反発に対して、長久氏は「諦めないこと」と断言。「一つのやり方がダメでも、あの手この手でアプローチを変え続ける。そして現場に権限委譲し、自律的な動きを促すことが重要」と、変革リーダーとしての覚悟を示しました。
まとめ
2日間にわたる「ミキワメユニバーシティ プレミアムサミット」は、AIと人的資本経営という現代の経営課題に対し、業界や立場の垣根を超えた本質的な議論の場を提供しました。形式的な平等にとらわれず、事業成長のために「誰に投資すべきか」をデータに基づいて判断すること、そしてCHROが経営と現場をつなぐ「事業の主人公」として変革を推進するリーダーシップが求められることが明確になりました。
これらの議論は、管理職や専門職の皆様が日々の業務の中で直面する人事課題や組織開発において、具体的な行動変容を促す示唆に富むものであったと言えるでしょう。
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