人的資本経営は「点」ではなく「線」で捉えるべき:KPIを改善し続ける循環型HR施策の重要性
人的資本経営において、KPI(重要業績評価指標)の開示だけで終わっていませんか?多くの企業で、採用・育成・評価が分断され、ジョブ型導入が制度に留まっているという課題が顕在化しています。こうした状況を打破し、人的資本経営を真に機能させるためには、採用から育成、評価、報酬、そして再投資へと続く一連の流れを「線」として設計し、循環させる視点が不可欠です。
2026年2月10日に開催された「<2026年に間に合う人的資本経営>採用・育成・評価で示す循環型HR施策“初”公開セミナー」では、株式会社給与アップ研究所、コーポレートコーチ株式会社、株式会社ツナグ・ヒューマンキャピタルの3社が共催し、この循環型HR施策の具体策が体系的に解説されました。

採用・育成・評価の分断が離職を招く構造
セミナーでは、まず人的資本経営が「点」ではなく「線」で設計されなければ機能しないという共通認識が示されました。特に、採用時の期待設計と入社後の評価制度が接続されていないことが離職を生むという構造的な問題が指摘されています。
株式会社ツナグ・ヒューマンキャピタルからは、実際の離職分析データに基づき、年代別の離職傾向が解説されました。
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20代:人間関係・職場適応不安
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30代:評価と報酬のギャップ
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40代以上:役割と能力の不一致
これらのデータは、採用段階からの一貫した設計なしには、人的資本KPIの改善は難しいことを示唆しています。

制度だけでは動かない人的資本経営:「関係の質」が土台を築く
コーポレートコーチ株式会社からは、「関係の質」から始まる成功循環モデルが提示されました。これは、「関係の質」が向上することで「思考の質」が変わり、「行動の質」が高まり、「結果の質」へと繋がるというものです。
管理職の関わり方が変化することで、以下のような連鎖が起こると説明されました。
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1on1の質が向上する
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エンゲージメントが改善する
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行動変容が加速する
人的資本経営は、単に制度を導入するだけでは機能しません。個々の従業員と管理職との「関係性の設計」が、その土台となるという視点が重要です。情報開示のKPIは「結果の報告」にすぎず、本当に必要なのは、結果が変わり続ける“循環を生むKPI”であると強調されました。
絶対評価こそが人的資本経営のエンジンとなる
株式会社給与アップ研究所からは、「なぜジョブ型を導入しても人的資本経営が動かないのか」という問いに対し、多くの企業が相対評価を残した「ジョブ型“風”の制度」に留まっている現状が指摘されました。
真にジョブ型を運用できている企業には共通点があります。それは、以下の要素が揃っていることです。
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役割記述書(JD)の整備
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役割ごとの成果基準の明確化
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絶対評価による達成度の測定
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評価結果の報酬・配置への反映
つまり、絶対評価なくして、ジョブ型の実装はありえないというのが本セミナーの出発点です。

ジョブ型雇用がうまくいかない5大失敗要因と対応策
ジョブ型雇用が失敗する主な要因として、以下の5点が挙げられました。
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納得を優先し差をつけない: 平等主義が制度を無力化し、頑張った人のモチベーション低下や離職に繋がります。
- 対応策: 全員納得ではなく「説明可能」な評価を目指し、評価記録とコメントを文書で残し、評価会議を「調整場」から「説明責任の場」へと変えることが求められます。
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評価サイクルが遅い
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対応策: 四半期評価と面談を組み合わせ、評価サイクルを短くすることが有効です。
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評価が報酬に連動していない
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対応策: 報酬や昇格との直結を明確にすることで、評価が行動変容に繋がります。
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評価項目が多すぎる
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対応策: 評価項目を絞り込み、本当に重要な点に集中させることが重要です。
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成果定義が曖昧
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対応策: 成果の定義を明確にすることで、評価の客観性が高まります。

大手企業の事例に見る“絶対評価”の実装
国内の大手企業でも、絶対評価の導入により成果を上げています。例えば、資生堂の事例では、国籍・性別・価値観が異なる多様な社員に対応するため、相対評価が「不公平感」を生んでいた背景から、グローバル共通の「成果 (What)」と「行動 (How)」の絶対評価を導入しました。
これにより、評価の納得性が向上し、エンゲージメントKPIが改善されたほか、人的資本開示への対応力も強化されています。

人的資本経営における「ジョブ型が成功する3大分岐点」
ジョブ型を成功させ、人的資本経営を真に動かすための分岐点として、以下の3点が提示されました。
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評価項目を絞る
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育成を短サイクルで回す
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評価を報酬・投資判断に使う
評価を「比べる」ことから「測る」ことへと意識を変えることで、人的資本経営は本当に動き出すでしょう。評価が報酬・昇格・育成投資に直結する「絶対評価」こそが、行動を変え、優秀層が正当に報われる環境を作り、人的資本への投資回収を可能にするエンジンとなります。

まとめ:KPIづくりで終わらせないための実践へ
本セミナーは、参加者の92%が「非常に満足」「満足」と回答するなど、高い評価を得ました。参加者からは、「KPIづくりで止まっていた視点が整理できた」「ジョブ型評価の実務が具体的に理解できた」「採用・育成・評価の接続イメージが明確になった」といった声が寄せられています。
人的資本経営は、単なる情報開示の義務ではなく、企業の持続的な成長を実現するための経営戦略です。採用・育成・評価を一体と捉え、絶対評価を核とした循環型HR施策を実践することで、貴社の人的資本経営も次の段階へと進むはずです。
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人的資本KPIの設計を見直したい
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ジョブ型評価を本当に機能させたい
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評価と報酬を連動させたい
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