AI時代の人材評価:問う力、判断力、テクノロジー活用力が鍵を握る
AI技術の進化が目覚ましい現代において、企業が評価する人材像は大きく変化しています。これまでの「業務スピード」や「正確性」といった能力に加え、今後は「問いを立てる力」「仮説構築力」「テクノロジー活用力」が、より一層重視される傾向にあることが明らかになりました。これは、AIが定型業務や情報処理を効率化する中で、人間にしか担えない思考・設計能力の価値が高まっているためです。私たち管理職や専門職が、今後のキャリアを築く上で、この変化を理解し、自身のスキルセットをアップデートしていくことは不可欠であると言えるでしょう。
評価される能力の変遷:AIを前提とした仕事の再構築へ
株式会社コーナーが企業の人事担当者約300名を対象に実施した「AI時代における人事・組織の実態調査」によると、人事が評価する能力に明らかな変化の兆しが見られます。
現在評価されている能力としては「論理的思考力」「スピード」「関係構築力」などが上位に挙げられていますが、今後2〜3年で特に求められる能力としては、「問いを立てる力」「仮説構築力」「テクノロジー活用力」が上位に浮上しています。この結果は、AIの出力を前提とし、それを判断・編集しながら業務やプロセスを設計・推進できる人材が求められている現状を反映していると言えるでしょう。

自由記述からも、AI操作スキルそのものよりも、AIを活用して仕事を再構成できる能力が重視されていることが伺えます。例えば、「AIのアウトプットをそのまま使うのではなく、判断・編集しながら仕事を前に進められる人」や「AIに任せる作業と、人の手や思考を介在させるべき作業を整理し、プロジェクトの状況に応じて使い分けられる人材」といった具体的な声が寄せられています。
人事領域の広がりと求められる人材ポートフォリオ
AI時代において、人事部門が向き合うべき領域も拡大しています。従来の採用や育成といった運用改善に加え、「評価」や「タレントマネジメント」(個々の社員の能力や経験を把握し、最適な配置や育成を行う戦略的な人事管理)といった人材活用の前提となる「設計・定義」の領域が、今後特に重視すべきテーマとして上位に挙がっています。

これは、AIの導入により業務プロセス全体が変革される中で、どのような人材をどのように評価し、配置していくかという根本的な判断軸の見直しが求められていることを示唆しています。株式会社コーナーの代表取締役CHROである門馬貴裕氏は、「AIを前提に仕事の構造が変わりつつあることの表れです。重要なのはAIを使うかどうかではなく、AIを含めて仕事や判断をどう組み立てるかという視点です」と述べています。
今後のキャリア形成に向けた提言
AI時代を生き抜く私たち管理職や専門職にとって、この調査結果は自身のキャリア形成における重要な指針となります。単にAIツールを「使える」だけでなく、AIが生成する情報を批判的に吟味し、それを基に新たな「問い」を立て、最適な「仮説」を構築し、業務プロセス全体を「再設計」する能力が求められているのです。
具体的には、以下のような行動が推奨されます。
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「問い」を深める訓練: 目の前の課題に対し、AIにどのような情報を与え、どのようなアウトプットを引き出すべきか、そしてそのアウトプットをどう解釈し、次の行動に繋げるかという思考力を養う。
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「仮説構築力」の強化: AIが提示するデータや分析結果をもとに、ビジネス上の可能性やリスクを見極め、具体的な戦略や施策を立案する力を磨く。
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「テクノロジー活用力」の習得: AIを含む最新のテクノロジーが自社の業務や業界にどのような影響を与えるかを理解し、それを自身の業務にどのように組み込むかを常に検討する。
2026年は、人事が組織変革を主導する重要な転換点となると考えられています。企業がAIを真に活用し、競争力を高めていくためには、私たち一人ひとりがAI時代に求められる人材像を理解し、主体的に能力開発に取り組むことが不可欠です。
本調査レポートの詳細版資料は、以下よりダウンロード可能です。人事施策の企画・検討にぜひお役立てください。


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