「2つの判断」と「2つの知識」とは
リクエスト株式会社のレポートでは、AI時代における企業の混乱を解消するため、以下の4つの要素を切り分けて考えることが重要であると整理しています。
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判断には「前例にもとづく判断」と「事実にもとづく判断」の二つがあります。
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知識には「経験を必要としない知識」と「経験を必要とする知識」の二つがあります。
多くの企業で問題となるのは、本来「経験を必要とする知識」であり、「事実にもとづく判断」が必要な仕事までを、「前例適用」や「模範解答」で処理しようとしてしまうことです。その結果、現場では以下のような状況が起きやすくなります。
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理解は増えるが判断は増えない
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前例どおり進めているのに、以前よりうまく進まない
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手戻りや追加対応が増える
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難しい案件が一部の熟練者や管理職に集中する
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仕事は回っているのに、次の打ち手が出ない
これらの現象は、単なる能力不足ではなく、本来の成立条件に対する「誤配置」として捉え直すべきであるとレポートは指摘しています。つまり、事実にもとづく判断と経験を必要とする知識で扱うべき仕事が、前例適用や知識教示だけで回せる仕事のように扱われていることが、停滞の背景にあるのです。
仕事を4象限で捉え、AIと人の役割を明確にする
レポートでは、「2つの判断」と「2つの知識」を組み合わせることで、仕事を以下の4象限に整理し、AIに任せるべき領域と人に残るべき領域を明確にしています。
第1象限:標準処理領域
手順、ルール、チェックリスト、定型説明、定型判定などが該当します。この領域はAI、自動化、標準化と最も相性が良いとされています。
第2象限:確認調整領域
手順は存在するものの、今回の適用条件や例外条件の確認が必要な領域です。誤適用を防ぐための事実確認が中心となります。顧客接点、管理職、企画職、現場監督、バックオフィスなど、多くの仕事でこの領域が含まれています。何を確認すべきか、どの条件差を見落としてはいけないかを明確にすることが、全体の品質と再現性を左右します。
第3象限:誤配置が起きやすい領域
本来は経験を必要とする知識や事実にもとづく判断が必要な仕事であるにもかかわらず、前例適用、模範解答、正解探しで扱ってしまう領域です。この「第4象限の仕事の第3象限化」が企業の停滞を生むと指摘されています。理解は増えても判断は増えず、手戻りや追加対応、熟練者への依存が強まる傾向があります。
第4象限:人に残る中核領域
条件の違いを見極め、事実を確認し、判断を下し、その結果で基準を更新していく領域です。AI時代に人が担う価値の中心であり、この領域を正しく扱うことが極めて重要です。
企業が最初に見つけるべきこと
企業が最初に行うべきは、自社の仕事をこの4象限で棚卸しし、特に「第3象限」に該当する仕事を特定することです。その上で、以下のステップを進めることが推奨されています。
- 自社の仕事を4つの象限で棚卸しする。
- 第3象限を特定する。
- 第4象限の仕事に「判断」が残るように設計する。
- 第1象限は徹底してAI・標準化へ寄せる。
重要なのは、単に「もっと考えろ」と指示するのではなく、どこまで事実を確認しなければ前に進めないのか、どの前提を置かなければ進めないのかを、仕事の中に設計することです。
判断デザインラボラトリーの見解
リクエスト株式会社の判断デザインラボラトリーは、AI時代に企業競争力を左右するのは、正解を多く知っている人を増やすことではないと考えています。差を見て判断できる人を育て、その判断経験が仕事の中で増えるように設計することこそが重要であると述べています。AI活用量そのものよりも、人に残る判断仕事を担える人材の厚みと、その判断経験が仕事の中で増える構造が、これからの企業の対応能力を決めていくでしょう。
リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人たちのデータに基づく組織行動科学®を基盤に、仕事の中で何が起こり、なぜそれが続くのかを分析し、「能力不足ではなく誤配置」という構造をAI時代の仕事設計の論点として整理しています。
会社概要
リクエスト株式会社は「より善くを目的に」を掲げ、33.8万人の働く人のデータに基づいた組織行動科学®を基盤に、7つの研究機関が980社を支援している企業です。

組織行動科学®は、組織で働く私達の思考と行動が「なぜ起こり」「なぜ続くのか」を事業環境と経験から解明し、より善く再現する手段です。

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代表取締役 甲畑智康: https://requestgroup.jp/profile


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