なぜ今、「仕事の進め方の違い」を見直す必要があるのか
生成AIの普及が進む現代では、これまで人間が行ってきた定型的な知識や手順に基づく業務は、今後さらにAIへと移行していくでしょう。その一方で、企業に残る仕事は、前例だけでは対応できない状況において、優先順位、リスク、価値を見極め、最適な対応を導き出す「判断」に集約されます。しかし、現場では「考えている」と感じていても、実際には慣れた進め方に依存しているケースが少なくありません。この「慣れた進め方を基に進める仕事」と「条件の違いを捉えて進める仕事」の間には、そこで育つ経験や能力に大きな違いがあるのです。
一見似ていても、仕事の進め方には違いがある
一見するとどちらも「考えて進めている」ように見える仕事も、実は大きく二つに分類できます。
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慣れた進め方を基に進める仕事
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これまでのやり方やツールを中心に業務を進めます。
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手順や説明は明確で、スムーズに進めやすい傾向があります。
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他の選択肢との比較検討は少ないでしょう。
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上司との会話は、主に確認や承認が中心となりがちです。
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結果は「完了したか」「問題がなかったか」で評価されやすいです。
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条件の違いを捉えて進める仕事
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案件ごとの条件や相手の違いを考慮しながら業務を進めます。
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何を優先すべきかをその都度考え、意思決定が求められます。
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複数の選択肢を比較検討し、最適なものを選びます。
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上司との会話は、判断に至った理由の確認が中心になります。
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結果は、次回の判断基準を見直すための重要な材料として扱われます。
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重要なのは、どちらか一方が常に優れているわけではないという点です。手順や前例で効率的に進められる仕事においては、前者の進め方が合理的です。しかし、本来は個別の条件に応じた判断が必要な仕事まで、慣れた進め方で処理されてしまうと、何を根拠に判断したのか、他の選択肢と何を比較したのか、なぜその対応を選んだのかが曖昧になり、判断基準が組織に蓄積されにくくなります。
リクエスト株式会社が提示する比較表は、この違いを明確に示しています。
| 慣れた進め方を基に進める仕事 | 条件の違いを捉えて進める仕事 | |
|---|---|---|
| 進め方 | これまでのやり方を中心に進める | 今回の条件に合わせて進め方を見直す |
| 根拠 | 過去にうまくいってきたから | 今回は何を優先すべきか言葉にできる |
| 比較 | 他の選択肢との比較が少ない | 複数の選択肢を比較して選ぶ |
| 上司との会話 | 確認・承認が中心 | 判断理由の確認が中心 |
| 振り返り | 結果確認で終わりやすい | 判断過程まで振返る |
| 蓄積 | 個人の感覚に残る | 組織の判断基準として残る |
自社の仕事を見直すための3つの比較視点
自社の仕事がどちらの進め方に近いかを見極めるために、以下の3つの視点で検討することが有効です。
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その仕事は、やり方を教えれば進むか?
手順や基準を伝えれば進む仕事は、比較的、前例や手順で成立しやすい仕事です。一方で、相手や条件の違いに応じて何を優先するかを毎回決める必要があるなら、その仕事には「判断」が残っています。 -
結果は「完了」で終わるか、それとも次回の判断材料になるか?
完了や合否で完結する仕事は、手順として扱いやすい仕事です。しかし、結果を踏まえて次回の基準を見直す必要がある仕事は、判断経験が不可欠な仕事と言えます。 -
上司との会話は、答えの確認か、判断理由の確認か?
上司が答えを出して終わる会話が中心であれば、部下の判断経験は蓄積されにくくなります。一方で、何を見てそう考えたのか、どの条件で判断が変わるのかを確認する会話が増えることで、判断基準は組織内で共有されやすくなります。
「判断が育つ仕事」は能力論ではなく構造で見える
この違いは、個人の能力差として捉えるべきではありません。同じ職種や役割であっても、判断できる人と判断しにくい人がいるのは、個人の優秀さだけでなく、仕事の「構造」に大きく左右されるためです。
具体的には、
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何を判断するのか
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どこまで任せるのか
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判断理由をどう扱うのか
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結果を次回にどう活かすのか
といった仕事の設計そのものが、判断力の育成に影響を与えるのです。
AI時代の人材育成の入口として
AI時代に求められる人材を育成するためには、今の現場のやり方を否定するのではなく、似ているようで異なる二つの仕事の進め方を比較し、自社の仕事のどこに「判断」があり、どこで判断が育ちにくいのかを見直すことが重要です。リクエスト株式会社は、この見直しの入口として、実践的な資料を提供しています。

リクエスト株式会社は、今後も調査、講座、実務支援、組織設計を通じて、AI時代に「判断できる人材」が育つ企業づくりを支援していくとのことです。
詳細については、リクエスト株式会社のウェブサイトをご参照ください。



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