賃上げ5%でも止まらない離職の実態:ビジネスパーソンが給与以上に求める「成長」と「市場価値」

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賃上げだけでは人材流出は止められない現実

今回の調査では、賃上げが人材の引き止め策として機能しにくい現状が浮き彫りになりました。給与アップはもはや「前提条件」であり、それ以上に働き手が重視するのは「自身のキャリア成長」と「市場価値の向上」であるという結論に至っています。

賃上げへの期待値と物価高の現実

まず、賃上げに対する期待値を見ると、半数を超える52.0%の人が「基本給は据え置き(上がらない)と思う」と回答しています。昇給を見込む人は約3割に留まり、賃上げムードが高まる中で、その恩恵を受けられないと感じる働き手が多いことがわかります。

今年の春闘や賃上げ交渉で基本給は上がる見込みか

さらに、期待する賃上げ額が昨今の物価上昇をカバーできているか尋ねたところ、67.9%が「まったくカバーできていない(実質マイナスだと感じる)」と回答しました。額面上の賃上げがあったとしても、物価上昇による生活実感の悪化を補い切れていないと感じる人が大多数を占めています。

賃上げ見込み額が物価上昇をカバーできているか

5%賃上げでも転職活動を継続する9割超

もし今の職場で「5%以上の賃上げ(例:月給30万円なら1.5万円アップ)」が約束された場合でも、70.8%の人が「賃上げに関係なく転職活動を継続する」と回答し、「ペースを落として継続する」(25.1%)と合わせると、9割を超える人が転職活動を続ける意向を示しています。これにより、給与アップが離職を決定的に阻止する特効薬にはならない実態が明確になりました。

5%以上の賃上げが約束された場合の転職活動継続意向

働き手が給与以上に求める「無形資産」

では、働き手は何を求めて転職を検討しているのでしょうか。調査結果からは、金銭的な報酬だけでは解決できない、より深い動機が見えてきます。

離職の最大の要因は「キャリア成長不足・スキルの停滞」

5%以上の賃上げがあっても転職活動を継続すると回答した人に、給与以上に職場を辞めたい理由を尋ねたところ、最も多かったのは「キャリア成長不足・スキルの停滞」(36.8%)でした。現時点での報酬よりも、自身の将来や市場価値に直結する「キャリア・スキル」が停滞することへの不安が、離職を検討する最大の要因となっています。

次いで「人間関係・社風のミスマッチ」(30.4%)、「労働時間・休日数への不満」(26.7%)が続き、金銭的な報酬だけではカバーできない、組織風土や労働環境といった根本的な課題も浮き彫りになっています。

給与以上に今の職場を辞めたい理由

転職で年収アップよりも優先される「スキル・市場価値の向上」

さらに、次の転職先を選ぶ際、あえて年収アップよりも優先したい要素があるか尋ねると、「スキルアップ・市場価値の向上」が56.8%で最多となりました。前段で浮き彫りになったキャリア・スキル停滞への危機感が、そのまま次の職場への「期待」に直結していることがうかがえます。

一方で「年収を最優先する」と回答した人はわずか12.7%に留まり、現代の転職市場では成長環境や組織文化といった「無形資産」が極めて重要視されていることがわかります。

転職で年収アップよりも優先したい要素

現場が切望する「年収以外の職場改善」

給料を上げるだけでは解決しない職場の問題点として、働き手からは以下のような具体的な声が寄せられています。

キャリア・スキルの停滞に関する声

  • 「仕事内容に関して成長の機会がない、10年先のキャリアが見通せない」(40代・女性・企画マーケティング)

  • 「業務の分担や担当範囲が固定されており、自分から新しい分野に挑戦することが難しい」(20代・男性・機械系エンジニア)

  • 「スキルアップできないと将来的に給与には反映されないし、また転職の際に何も実績を持てないままただ給与が高いだけの使えない人材という評価をされかねない」(30代・女性・システムエンジニア)

人間関係・組織風土に関する声

  • 「コミュニケーションが不足しており、意見やアイデアが反映されにくい。給料が上がっても働きやすさやチームの雰囲気は改善されない」(30代・男性・その他)

  • 「意思決定を行う経営層の働き方改革への理解不足、意思決定までの非効率性」(40代・男性・公務員)

労働環境・業務負荷に関する声

  • 「慢性的な人員不足が続いており、疲弊した状態で働いているスタッフが多い」(20代・女性・接客販売)

  • 「職場によっては残業が過労死ラインを大きく超えている」(40代・女性・公務員)

これらの声は、賃上げだけでは解消できない、個人の成長機会、人間関係、そして労働環境といった職場の根本的な課題が存在していることを示しています。

企業が目指すべき「働き手の市場価値向上を支える場」

今回の調査結果は、企業が優秀な人材を惹きつけ、定着させるためには、単なる賃金改善だけでなく、個人のキャリア成長を停滞させない環境の提供が不可欠であることを明確に示しています。賃上げはもはや、人材確保のための「前提条件」に過ぎないのかもしれません。

管理職の皆様が組織の将来を考える上で、単に労働力の対価として給与を支払う場所ではなく、「働き手の市場価値向上を支える場」として機能できるかどうかが、現代の採用競争における重要な生存戦略となるでしょう。

調査概要

  • 調査内容:賃上げと転職意向に関する実態調査

  • 調査機関:株式会社ワークポート(自社調査)

  • 調査対象:全国のビジネスパーソン(20代~40代・男女)

  • 有効回答数:442人

  • 調査期間:2026年1月27日~2月3日

  • 調査方法:インターネット調査

関連情報

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この記事を書いた人

沖縄で3匹の猫たちと暮らす「沖縄の黒猫」と申します。スマホやAIの進化で色々な情報が簡単に手に入る便利な時代ですが、得た情報を実践するのは凄く難しいので、得た情報を記事にすることで色々行動出来る様になりたいと思い、サイトを運営しています。

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