従業員の「孤独・孤立」は企業価値を損なう新たな経営リスク
従業員の「孤独・孤立」は、生産性の低下や離職リスクを高め、結果として企業価値を損なう新たな経営リスクとして認識され始めています。特に、多くの責任を担う40代・50代のビジネスパーソンである皆様にとって、この問題は決して他人事ではないでしょう。
「孤独・孤立対策推進法」と「人的資本経営」の重要性
この問題が注目される背景には、2024年4月に施行された「孤独・孤立対策推進法」があります。この法律は、個人のみならず企業にもその影響が及ぶことを示唆しており、従業員のウェルビーイング(心身の健康と幸福)が企業価値に直結する「人的資本経営」の観点からも、孤独・孤立対策は喫緊の課題となっています。
内閣府採択事業セミナーが示す「孤独・孤立」の現実
NPO法人SKYは、内閣府の採択事業として無料のオンラインセミナー「孤独・孤立が企業価値を高める ~人的資本経営支援セミナー~」を2025年11月12日に開催しました。このセミナーには、企業の人事・労務・経営に携わる方々や地方自治体関係者など36名が参加し、盛況のうちに終了しています。

セミナーの第一部では、追手門学院大学教授の浦光博氏が登壇し、孤独・孤立に関する最新の知見と研究を共有しました。浦教授は、最新の研究データに基づき、ウェルビーイング経営と企業価値の相関関係、そして孤立・孤独が従業員に及ぼす影響について詳細に解説しています。また、職場で起こり得る具体的な孤独・孤立の状況や企業が直面するリスク、そして企業がすぐに実践できる対策についても提案がありました。質疑応答では、「声を上げられない、あるいは自身で気付きづらい孤独・孤立リスクの高い方へのアプローチ方法」について質問が上がり、実践的なアドバイスが提供されました。
「男のセカンドキャリア塾」に見るNPO連携の可能性
第二部では、NPO法人SKY代表理事の水﨑由美子氏が、現在3年間にわたり実施している「男のセカンドキャリア塾」を孤独・孤立対策のモデル事業として紹介しました。

このプログラムは、「内省」「セカンドキャリア」「コミュニケーション」「料理教室」「地域との繋がり」「新しい趣味に出会う」という6つのワークショップで構成されています。これらの活動は、企業から地域への役割変化をスムーズに行うためのスキル習得や、会社以外の「つながり」を実感することを目的としています。企業が直接的に介入することが難しい個人の「私生活」における課題に対し、NPO団体がアプローチする具体的な実例として提示されました。セミナーでは、実際に参加された方のインタビューも紹介されています。

セミナー参加者アンケートから浮き彫りになる課題と期待
セミナー後のアンケートでは、参加者の皆様から貴重な意見が寄せられています。
「男のセカンドキャリア塾」のようなプログラムを企業研修や福利厚生、人事育成の一環として導入することについて、「ある程度・非常に意義を感じる」と答えた方は87.5%に上りました。

期待されるメリットとしては、「モチベーション向上」(50%)、「キャリア自律性の向上」(50%)が最も多く挙げられ、次いで「人的資本としての強化」(37.5%)が続きました。

一方で、導入にあたっての懸念・ハードルとしては、「社員の参加意欲」(87.5%)が最も高く、次いで「コスト・予算」(50%)、「時間的制約(業務との兼ね合い)」(37.5%)、「経営層の理解・合意」(37.5%)などが挙げられています。

これらの結果から、プログラムの意義は高く評価されているものの、実際の導入には様々な課題があることが明確になりました。
企業が取り組むべき人的資本経営とNPO連携
企業が持続的に成長するためには、「人=従業員」を中心とした人的資本経営の推進が不可欠です。従業員個人の課題や私的問題に対し、企業が主体的に取り組める施策には限界があります。そこで、NPO団体のような地域資源を有効活用し、企業の目指す人的資本の活用を推し進めていくことが重要です。
NPO法人SKYは今後も、定期的に「健康経営」や「人的資本経営」に関心のある企業担当者を対象としたワークショップを開催していく予定です。これらのワークショップでは、「隠れた孤独・孤立を発見するには」や「孤独・孤立対策で達成できる健康経営とは」などをテーマに、参加者同士で意見交換を行いながら、知識や情報をアップデートできる機会が提供されるでしょう。

ご興味のある方は、NPO法人SKYのホームページやFacebookで情報が公開されるとのことです。また、直接の連絡を希望される場合は、事務局までメールにてお問い合わせください。
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NPO法人SKYホームページ: https://esukeiwai.jimdofree.com/
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メールアドレス: esukeiwai.info@gmail.com
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件名:「孤独・孤立対策ワークショップ通知申込」
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記載事項:1. 会社名 2. ご担当者名 3. 連絡先(メールアドレス、電話番号等) 4. ご質問等
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「孤独・孤立対策」と「企業の人的資本経営・健康経営」が結びつくことで、従業員一人ひとりが健康で生きがいを持って自立的に行動できる社会が実現し、ひいては企業全体の成長に繋がることを期待いたします。


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