現代のキャリアコミュニケーションに「空白」が存在する理由
コミュニケーションの頻度は変わらずとも、内容は業務中心
今回の調査では、管理職247名、非管理職368名にアンケートを実施しました。回答者全体にコロナ禍以降の上司と部下の1on1(定期的な個人面談)などのコミュニケーション頻度の変化について尋ねたところ、「特に変わっていない」が最多の43.6%でした。一方で、フルリモート勤務者では「やや増えた」と回答した人が多く、リモート環境下で意識的にコミュニケーションを増やす動きが見られます。

しかし、直近1年で上司と部下の間で最も多く交わされた会話テーマを尋ねたところ、「業務進捗・タスク管理(27.8%)」や「人事評価・目標設定(25.5%)」が上位を占めました。これは「特にない/覚えていない(31.2%)」を除くと、日々の対話の多くが業務に偏っている現状を示唆しています。

部下は「機会がない」、上司は「本音を引き出せない」
部下側への調査では、上司とキャリアや将来について話す機会が「全くない(26.9%)」、または「ほとんどない(23.4%)」と回答した人が合わせて過半数の50.3%に上りました。さらに、上司とのコミュニケーションが自身のキャリア選択に「あまり影響していない」と答えた人が52.7%で最多となり、キャリア形成における対話の不足が顕著です。


一方、上司側に部下のキャリア支援として行っていることを尋ねたところ、「評価や目標設定に基づいたアドバイス(36.4%)」や「定期的なキャリア面談(34.0%)」が多く、人事制度に基づくフォーマルな場での支援に留まる傾向が見られました。

キャリアに関するコミュニケーションで難しさを感じる点について、上司の回答では「部下の本音を引き出しづらい(35.6%)」が最多です。部下側は「キャリアについて会話する機会がない(39.9%)」が最も多く、さらに「本音を言うと評価に影響しそう(17.9%)」と答えた人も一定数見られます。この結果から、上司と部下の間にはコミュニケーション機会の不足に加え、「話したくても話せない」「聞きたくても引き出せない」という“本音の壁”が存在することが明らかになりました。


キャリア自律を促すための新たなマネジメントとは
副業や社外活動への関心の高まりと「キャリア自律」への意識
副業や社外活動をキャリア形成にどう位置づけているかを尋ねたところ、「特に必要性を感じない(38.2%)」が最多で、次いで「興味はあるが実践していない(31.4%)」が続きました。関心は高いものの、実践には至っていない層が多いことが分かります。
年代別では、20代男性が「積極的に活用している」と回答した割合が40.6%と高く、他世代を大きく上回りました。一方、20代女性は「興味はあるが実践していない」が41.7%と最も多く、関心は強いものの、環境面や制度面の制約が行動の障壁になっている可能性が考えられます。

「キャリア自律」という言葉の受け止め方については、全体で「あまり関心がない(32.5%)」、「重要だがプレッシャーを感じる(24.4%)」が上位を占め、約6割が必要性を認識しつつも負担感を抱えていることが分かりました。しかし、副業・社外活動を積極的に行っている層の57.6%が「キャリア自律を自分にも取り入れたい」と回答しており、社外経験がキャリア意識を高める可能性が示唆されています。

求められる「信頼できる距離感」と「支援型マネジメント」
今後、上司と部下のキャリアに関するコミュニケーションがどうあってほしいかを尋ねたところ、全体では「過度に干渉せず、求められた時だけサポートしてほしい(24.1%)」が最も多く、次いで「必要な時に安心して相談できる心理的安全性を高めてほしい(22.0%)」が続きました。
年代・性別で見ると傾向に差があり、20代男性は「定期的な1on1でもっと話したい(37.5%)」が最多、20代女性は「価値観や人生設計についても相談できる関係を望む(21.7%)」が最多となり、若年層では積極的な対話や共感を求める声が目立ちました。さらに40代では男女とも「過度に干渉せず必要な時にだけサポートしてほしい(男性29.7%、女性24.7%)」が最多となり、年代が上がるほど、適度な距離感を保ちながら支援してほしいという意識が強いことが分かりました。

これらの結果から、キャリア支援においては「距離の近さ」よりも「信頼できる距離感」が重要であり、一方的な管理ではなく、必要な時に安心して相談できる「支援型マネジメント」が求められていることが伺えます。
管理職に求められる「見守り、支える力」
この調査結果から、管理職の皆様には、部下のキャリア形成において「見守り、支える力」がより一層求められていることが分かります。単に業務の進捗や評価を議論するだけでなく、部下一人ひとりのキャリアに対する本音や将来の展望に耳を傾け、心理的安全性の高い対話の場を設けることが重要です。
パーソルイノベーション株式会社 lotsful Companyの田中 みどり代表は、「これからのマネジメントに求められるのは、管理や評価ではなく、個人のキャリアを『見守り、支える力』だと考えています」とコメントしています。同社は副業機会の提供に留まらず、社員のキャリア自律や部門を超えたキャリアコミュニケーションを促進する体制づくりも支援しています。

企業は、社員のキャリア自律を支援する制度や環境を整備することが不可欠です。例えば、『lotsful』が提供する企業人事担当者向けキャリア支援プラットフォーム「キャリアサークル by lotsful」のようなツールを活用し、社内・グループ内での異動や副業の機会を可視化し、社員が主体的にキャリアを形成できる仕組みを構築することも有効な手段となるでしょう。


社員が自身のキャリアに対して主体性を持つことは、企業全体の成長にも繋がります。管理職の皆様には、この調査結果を参考に、部下とのキャリアコミュニケーションの質を高め、組織全体の活力を向上させるための具体的な行動を期待いたします。
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「キャリアサークル by lotsful」詳細: https://lotsful.jp/news/321


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