「留職」が拓く新たなキャリアパス:NTTドコモビジネス社員の実践に見る人材育成と社会貢献の可能性

目次

留職プログラムのインパクト:企業成長と社会貢献を両立する新たな人材育成の形

結論:越境学習がもたらす企業と個人の成長

近年、企業の人材育成において、社会課題解決の現場で実践的な経験を積む「留職プログラム」が注目を集めています。これは、社員が一定期間、NPOなどの非営利団体に出向し、社会貢献と自身のキャリア形成を同時に実現する新しい形の「社外OJT(On-the-Job Training)」です。このプログラムは、個人のスキルアップだけでなく、企業の人的資本経営(企業価値向上のために人材を資本として捉え、投資する経営戦略)やリスキリング(新しいスキルや知識を習得し、職務内容の変化に対応すること)を推進する上で極めて有効な手段であると言えるでしょう。

理由:なぜ今、留職が重要なのか

留職がもたらす価値は多岐にわたります。まず、社員は普段の業務では得られない、社会課題の現場におけるリアルな課題解決能力を培うことができます。限られたリソースの中で成果を出すための工夫や、多様な背景を持つ人々との異文化協働を通じて、「越境力」とも呼ばれる適応力やリーダーシップを強化することが可能です。

企業側にとっても、これは大きなメリットとなります。社員が社外での経験を通じて成長することで、組織全体の活性化に繋がり、新たな視点やイノベーションの創出が期待できます。また、このような「越境型学び」を制度として支援する企業姿勢は、人的資本経営の具体的な実践として評価され、採用活動におけるブランディング強化にも寄与します。特に、挑戦意欲の高い優秀な人材にとって、成長機会が豊富な企業文化は魅力的に映るはずです。

具体例:NTTドコモビジネス社員の挑戦

この留職プログラムの具体的な成功事例として、NTTドコモビジネス株式会社の木俣さんのケースが挙げられます。木俣さんは、認定NPO法人SALASUSU(サラスースー)に1年間出向し、多岐にわたる業務に挑戦されました。

クラウドファンディングを通じた発信力の向上

着任後、木俣さんが最初に取り組んだのは、非営利団体にとって重要な資金調達活動の一つであるクラウドファンディングのプロジェクトでした。約2ヶ月間、プロジェクトリーダーとして準備から発信まで深く携わり、「誰に・どんな魅力を・どのように伝えるか」を常に考え続けました。非営利団体の資金調達は、単に商品を販売するのではなく、その活動の社会的意義や価値をどのように伝えるかが鍵となります。この経験を通じて、木俣さんは情報発信の難しさと重要性を深く学びました。

笑顔の大人たちが教室で集合写真を撮っている様子。壁には掛け算の表があり、教育現場での交流や活動を示唆しています。和やかな雰囲気が伝わります。

カンボジアでの異文化協働と組織運営改善

7月にはカンボジアに渡航し、現地オフィスやSALASUSUが運営する学校で20日間活動されました。現地では、数年後の組織拡大を見据えた運営基盤を構築するため、カンボジア事務局のガバナンス強化プロジェクトに取り組みました。これには、リスク評価と改善点の検討、日常業務の効率化、スタッフ育成など、組織力を継続的に高める仕組みづくりが含まれています。

現地スタッフとのやり取りは英語で行われ、文化や働き方の違いに戸惑うこともあったそうです。しかし、「SALASUSUをより良くしたい」という共通の強い想いを共有した時、言葉や国境を越えて心が通じる経験を得られたと語っています。

笑顔のアジア人グループが食卓を囲んでカジュアルな食事を楽しんでいる様子。友人や同僚が集まり、和やかな雰囲気の中でセルフィーを撮っている。

NPOでの経験が問い直すキャリア観

SALASUSUでの留職期間中、木俣さんは企業との働き方の違いに直面しつつも、多くの学びを得ました。企業では多くのメンバーをマネジメントすることに重点を置いていましたが、NPOでは限られた人員と資源の中で、自らリソースを集め、運営の仕組みを設計するという新たな挑戦に取り組みました。この経験から、少人数のチームが持続的に活動するための体制づくり、特に「メンバーのやりたいこと」と「組織の目指すこと」の重なりを意識した人材配置の重要性を実感したと言います。

また、カンボジアのスタッフとの協働を通じて、「自分の当たり前」が日本という枠の中での価値観に過ぎないことを痛感し、文化や価値観の異なる仲間とともに共通のゴールを描き、チームを動かす力をさらに磨いていきたいと述べています。

木俣さんは、帰任後には、企業が社会課題に取り組む意義を自身の経験を通じて伝え、社会のニーズを捉え事業として具現化する力を磨きながら、社会貢献につながる企画を生み出すことを目指されています。そして、NPOで培ったリーダーシップを発揮し、メンバーが楽しみながら挑戦できる環境を創出するリーダーを目指していきたいと抱負を語っています。

企業とNPOが共に描くビジョン

留職は、企業の人材育成と社会課題解決を同時に実現する、まさに現代社会に求められる学びの形です。SALASUSUは、「Enjoy your life journey - 誰もが人生の旅を楽しめる社会へ」というビジョンを掲げ、質の高い学びを公教育を通じて全ての子どもに届けることで、このビジョンの実現を目指しています。カンボジアを拠点に、日本発の学校改革手法を活用し、教師教育にイノベーションを起こすとともに、アカデミアとの協働を通じて理論と実践をつなぐ取り組みを推進する認定NPO法人です。

「SS」の文字と、その下に逆さまの「U」のような図形が二つ並んだロゴマークが特徴的な画像です。下部には「SALASUSU」というブランド名が記載されています。

SALASUSUは、企業とNPOの垣根を越えた学びと共創を広げるパートナーシップを重視しており、社会課題の解決と人材育成を同時に実現するこの取り組みに、多くの企業が参画することを期待しています。

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この記事を書いた人

沖縄で3匹の猫たちと暮らす「沖縄の黒猫」と申します。スマホやAIの進化で色々な情報が簡単に手に入る便利な時代ですが、得た情報を実践するのは凄く難しいので、得た情報を記事にすることで色々行動出来る様になりたいと思い、サイトを運営しています。

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